北海道
昆布そば(稚内)
日本最北の町、稚内の駅前にあるそば店”天北庵”のオリジナルそば。名産の昆布を真綿のように薄く削って、そばに混ぜて打つ。茹で上がりはやや黒っぽい。
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青森
津軽そば(津軽)
大豆を練り込んだそばである。大豆は水に浸し、柔らかくなったところでそばに混ぜ込み、一番寝かせてから茹でる。すると、やや餅色がかった、つややかなそばが出来上がる。茹でた後の日持ちがよいので、津軽のそば屋台が主に使っていたが、手間がかかるためか、”幻”になりつつある。
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山形
板そば(盾岡)
全国のそば好きが目指して食べにくる名店”あらき”の看板。秋田杉の箱に盛るので、客の間からこの名で呼ばれるようになった。食べ方はざると同じだが、地元のそば粉を使ったゴワッとした麺は噛みしめるとほのかに甘い。
紅花切り(最上川)
山形の夏、最上川の畑は紅花の紅黄色に染まる。染料としてだけではなく、漢方薬としても珍重されてきた紅花を更級粉に練り込んだそばは、せいろで供される。味わいと色合いを楽しむ。
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岩手
わんこそば(岩手一帯)
誰もが知っている”大喰い”のそばだが、もともとは、祝儀不祝儀に客をもてなす料理であった。客にたくさん食べてもらうことが一番のもてなしとされ、娘たちはいかに素早く椀にそばを投げ入れるか競ったという。そばには刺身、鶏肉などご馳走を添える。
ひきなそば(二戸付近)
細切りの大根をそばと一緒に盛り合わせる食べ方が各地にあるが、岩手では切干大根を使う。大根をまぎれ込ませて、そばを節約したが、今ならダイエットにぴったりだ。
揚げそば(岩手一帯)
中華風のかた焼きそばを想像するといい。生の(茹でていない)そばを油で揚げる。パリパリッとなったのを、とろみのある汁につける。
地獄そば(岩手一帯)
大鍋を囲んで、めいめいがそばを茹で、濃いめに汁にとって食べる。いわばそばの”しゃぶしゃぶ”。厳寒の地方ならではの、心まで温まりそうな食べ方だ。
はらこそば(三陸海岸)
最上川を遡る鼻曲がり鮭からとれる大粒のはらこ(イクラ)を、そばの上に大盛りにする。熱々の汁がかかって、はらこはやや白っぽい半熟になったところが、食べごろ。はらこがプチッとはじけ、とろーりと口に広がる。
うにそば(三陸海岸)
さっと火を通して、プリッと身のしまったうにが、そばの丼一面をおおう。シンプル、かつ贅沢なそばの食べ方だ。
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秋田県
中屋敷そば
大豆を細かく砕いて作った汁の「ご汁」をつなぎに使うのが特徴で、
そば粉をこねる前に混ぜる。
そばは太めに切り、鶏がらでだしをとったスープでそばを食べる。
鷹巣町中屋敷の農家でしか食べられないそば。
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福島
大根そば(福島一帯)
刺身のつまのように細く切った大根をそばと盛り合わせる。白っぽい仕上がりの更科そばだと、どれが大根でどれがそばなのか、見分けがつかない。江戸時代の劇作者、十返舎一九がその小説の中にも登場させている。
なめこそば(福島一帯)
いまや、どこのおそば屋さんにもあるなめこそばだが、本場を挙げるなら、やはり福島だ。天然なめこの産地であり、かつ高品質のそば粉も取れる。当然のように結びついた、特産品どうしの組み合わせだ。
白河そば(白河)
この辺りは、香り高く、コシのあるそば粉を産することで有名。土地の人は昔から「二八喰うよりうどんがまし」といって、上質のそば粉を100%使った「白河そば」を誇りにしている。
断ちそば(桧枝岐)
平家の落人伝説も残る山狭の村で受け継がれている。その村の名前から桧枝岐そばとも呼ばれる。そばを丸くのし、5〜6枚を重ねて、端から菜切りきり包丁で切っていく。典型的な田舎そばだ。
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千葉・茨城
いわしそば(千葉・茨城太平洋岸)
いわしのすり身をそば粉に練りこむ・・・ちょっと生臭いイメージを受けるが、獲れたてのいわしだから心配するような臭みはない。食べ方はもり、かけ、どちらでもOK。
さんまそば(千葉・茨城太平洋岸)
いわしと同様にすり身にしてそばに練りこむやり方もあるが、蒲焼のさんまを乗せる食べ方が知られている。適度に油を落としたさんまはすっきりとしていて、そばのよい相手になる。
けんちんそば(千葉・茨城)
大根やごぼう、こんにゃく、豆腐が入ったけんちん汁をかけたそば。具だくさんで、熱々で、健康にもよさそうだ。けんちん汁は全国各地にあるが、なぜかこの地方では、そばと組み合わせて、素敵な郷土料理にしている。
そば柿(千葉)
千葉県の一部で食う調理法。熟柿を擂りつぶした肉と汁を入れて、
蕎麦粉を練ったもので、やや菓子に近い食物である。
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栃木県
大根そば
大根を千六本に刻んだのを蕎麦と共に煮たものである。
東京には不向きなものだが、栃木県下の農家では、こうして蕎麦を食べることが多い。
この食べ方は茨城県下にも用いられているが、夏に限っている。
ちたけ蕎麦
ちたけ(乳茸)というキノコの出汁のしょうゆ味の汁につけて蕎麦を食す。
蕎麦は黒くて太い田舎蕎麦で、蕎麦といっしょに汁まで飲んでしまうところが
江戸風との明らかな違い。
キノコを料理するときは茄子を入れると当たらない、
という言い伝えがあり必ず茄子が入り、
キノコと茄子を油で炒めて水や出汁を張り醤油で味付けつけ汁にする。
田舎だと大きな鍋で大量に作り、人寄せごとで集まったお客に、
振る舞ったりします。
※ちたけ:乳茸
里山などに生えているキノコで、
石づきのあたりをポキリと折ると乳白色の汁がジワリと出る。
食感は他のキノコのように滑らかではなくポクポクした感じで
良く煮てもしんなりしない
情報提供 HN:鶴八さん
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埼玉県
茄子そば
生醤油を薄めたものに、茄子または大根、菜などを入れて煮たもの、
煮出しを全然用いぬのだから、決して結構なものではない。
埼玉県秩父地方ではこうして食べる。
胡麻汁そば
北埼玉地方では、味噌汁を煮ずに、擂り潰した胡麻を混ぜて、
よく掻きまぜた汁で、もりそばを食べる。
胡桃そば
南埼玉地方では、醤油汁に胡桃の焼いたものを擂りまぜ、やはり汁を煮ずに用いて食べる。
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東京
江戸前の海、江戸の畑から獲れる新鮮な素材を活かしてきたのが江戸のそばであった。その江戸のそばが全国のそば屋の商品として広まり、いつしか”江戸”らしさが薄れてしまった。数少なくなったしまった”江戸”の香りがするそばを探してみた。
あられそば
青柳の貝柱、通称”小柱”を冬の空から降ってくる”あられ”に見立てた。新鮮な小柱を生のまま、海苔の上にのせる。冬の味覚である。
穴子南蛮
旬の穴子を使った、夏から秋にかけての”季節のそば”。たれ焼きにした香ばしい穴子、短冊切りのねぎと風味豊かだ。
白魚そば
さっと湯がいた白魚を海苔の上にのせる。デリケートで臭みのない白魚を生かした、早春の種物である。
深大寺そば
その昔、深大寺の住職が自ら打ったそばを位の高い僧に献上したところ、その味の良さが大名や一門の間に広まった。これが深大寺のそばを一躍有名にしたという。
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.山梨
ほうとう(山梨一帯)
うどんの影に隠れてあまり知られていないが、そばのほうとうも昔から食べられている。いろいろな野菜やかぼちゃを煮込んだ中に、そばを入れてさっと煮る。煮込みそばとも呼べる。
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新潟
素魚そば(佐渡)
素魚と書いて「しろうお」と読む。日本海で獲れるハゼ科の魚で、臭みがなく、味は淡白。このデリケートな魚をさっと卵でとじて、そばにかけるのが東京のしらうおそばと違うところ。佐渡の中でも、真野町のしろうおが地元の人の間では有名である。
へぎそば(小千谷)
へぎというのは、そばを盛る細長い木箱のこと。一箸分づつを指に巻きつけ、波紋のように美しく並べる盛りつけも独特である。着物の糊づけに使う”ふのり”をつなぎに使う。口に入れると、ぷんと磯の香りが広がる。
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長野
富倉そば(富倉)
やまごぼうの葉をつなぎにした香り豊かなそば。厳寒の山村だが、このそばは冷たい水でさらしたのをよしとし、その歯ごたえを楽しんでいる。つけ汁は2〜3年漬け込んだ自家製味噌漬を煮出して使う。
湯閉じ(長野一帯)
そばを入れた大根の味噌汁といったところ。焼き味噌を溶いた汁でそばを暖め、椀に盛って味噌で煮た大根をのせる。信州特産の味噌の風味を生かしたそばの食べ方だ。
お煮かけ(長野一帯)
文字通り、野菜の煮物をかけたそばである。大鍋で野菜をコトコトと煮ているところに、ざるに入れたそば玉を差し込んで温め、煮汁、野菜といっしょに丼に盛る。大根、にんじん、油揚げ、鶏肉という色とりどりの具がいかにも家庭的な雰囲気だ。
すんきそば(木曽)
すんきとは、すぐきの漬物のこと。御岳山の周辺では、すんきを細かく刻んで、鰹節とともに、そばにのせて食べる。酸味のきいた漬物とそばの異色の組み合わせだ。
凍りそば(柏原)
凍り豆腐で有名な長野県では、そばも凍らせて干麺にする。そば粉100%のそばを茹でて、寒中に凍らせて”天然のフリーズドライ”の干しそばにする。小さめの玉で、椀に入れて湯を注げば、たちまちそばになる。手間仕事のため一時すたれていたが、昭和60年頃に復活した。
からみそば(伊那)
福井のおろしそばと並ぶ、大根おろしそばの傑作。ただしこちらは、鬼汁と呼ばれるほど辛味が強い。大根おろしの絞り汁を焼き味噌やしょうゆで味をつけて”つけ汁”とする。ビリビリするほど辛い汁が、そばの甘味を引き出してくれる。
しっぽこ(長野)
長崎のしっぽく料理からスタートした、大椀盛りで具だくさんのそば。江戸時代に江戸で人気を取ったが、長野市の「竹野屋」では当時の雰囲気を色濃くした”しっぽこ”を売り続けている。
そばだんご
長野県の常食用になっているものだが、一種の蕎麦がきに類するもので、
都会地では蕎麦がきは用いるが、そばだんごは用いない。
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富山
利賀そば(利賀)
越中の秘境にふさわしい、ひなびたそばである。山芋をつなぎにして、やや太めに打つ。そうめんのように、手で伸ばした”手のべそば”もある。利賀村で行われる「そば博覧会」はそば愛好家たちには楽しみな催事だ。
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福井
おろしそば(武生)
そばに大根おろしの薬味は、全国的な組み合わせだが、ここ福井の大根おろしは薬味というにはあまりにも分量が多い。薬味というよりも、大根おろしの”具”というほうが適切だ。そばに直接、大根おろしをのせる食べ方と、汁に加える食べ方の2通りがある。いずれの食べ方でも花かつおをたっぷり添える。
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京都
にしんそば(京都)
干したにしんをご馳走に仕立てたのは京都人の知恵、そのにしんの煮物をそばの名脇役に仕上げたのは「松葉」の知恵。味も良く柔らかく煮上がったにしん、そしてにしんから出るだしが、そばとうまく混ざり合って、まさに老舗の風格。
芳香炉(京都)
しゃぶしゃぶの鍋、中国の火鍋子を使ったそばの鍋物。まず、京湯葉、ひりょうず、しんじょ、野菜を味わい最後をうどんとそばでしめる。昭和初期創業の「晦庵河道屋」が考案した独創的なそば料理だ。
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大阪
敦盛そば(堺)
美しき武将・平敦盛と温かいもりそば”あつもり”をしゃれたネーミング。堺の「ちくま」はせいろ一筋300年の老舗。湯通ししたそばをせいろに盛ったあつもりは、生卵を添えた濃い熱いつけ汁とともに供される。生卵で好みの味に薄めて食べる。
夕霧そば(大阪)
浄瑠璃に登場する夕霧太夫にちなんで名づけられれいる。ゆずの皮を練り込んだそばで”はんなり”と香り豊か。大阪は、曽根崎にある「瓢亭」の創作そば。冷やしもり、あつもりの2タイプがある。
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兵庫
皿そば(出石)
せいろや椀ではなく、小さな平皿にそばを盛る。タイプとしてはわんこや割子に似ている。器は地元の出石焼きを使うのが決まり。そばも地元の粉を使い、地元の名産品やまいもでつないだ、やや黒っぽい、太打ちの面である。
床瀬そば(床瀬)
兵庫県北部、但馬には床瀬、出石、奈佐というそばの名産地があり、土地の名をつけたそばが名物になっている。そばを伝えたのは、有名な沢庵和尚とも、また信州から移ってきたお殿様だとも言われている。この地で但馬名物のやまいもと出会って、名物に育った。
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島根
割子そば(出雲)
何段にも重なった朱塗りの器に、とりどりの薬味をのせたそばが盛られる。出雲といったら割子である。甘皮の部分まで粉に挽くので、そばの甘味と香りが生きている。ここに濃い目の汁を少しだけかけて、すすり込むのが、そばの味を知る地元の人の食べ方だ。
釜揚げそば(出雲)
うどんの釜揚げはあちこちにあるが、茹であがったそばを水にもさらさないで、茹で汁ごと供するのは、日本広といえど、おそらくここだけ。「香り3分に味3分」というほど、そばの香りを大切にする出雲ならではの趣好。
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山口
瓦そば(豊浦)
野戦料理をヒントに、豊浦・川棚温泉のそば屋「たかせ」が作り出した。石州瓦に茶そばをのせ、牛肉と錦糸卵をちらして、瓦ごと火にかけるから、テーブルにはジュージューと音を立てながら運ばれてくる。
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徳島
祖谷そば(祖谷)
四国といえばうどんだが、徳島の山深くにそばの里があった。平家の落人伝説とともに伝えられるそのそばは、ざっくりしていて、やや太め。小麦とやまいもをつなぎとして加えるが、出来上がりは素朴で飾り気がない。
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長崎
対馬そば(対馬)
150年前藩主御用達で開いた「中村屋」のそばが島を代表する味になっている。粉は島内で獲れる地粉、やや荒めに挽いてつなぎを一切入れずに打つ。器は、小指ほどの細い竹を割らずに編みこんだ野趣豊かなせいろを使う。
かきそば(高来)
かきのだしだけで作る、即製のかきそば。かきを水から煮て、塩と醤油で味をつけ、温かいそばの上にかけるだけ。汁に甘味がないからそばの味も、かきの味もストレートに伝わってくる。
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鹿児島
薩摩そば(鹿児島)
さつま揚げをのせてかけそばにするところが、いかにも鹿児島的。そばはやまいもをつなぎにするのが決まりで、やまいもが獲れない夏場は、そばを作らないお店もあるとか。薬味としてみかんの皮を刻んでのせる、南国の香りがするそばだ。
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